生徒に以前薦められた動画の解説がどうかと
思うので、今日は
数式を使わない(世界平和のため😂)で
概念的にこの違いを説明しようと思います。
夏の暑い日に道路の先が
水に濡れているように見える現象は「逃げ水」と呼ばれます。
高校物理では光の屈折を用いて説明されます。
一方、遠くの船や建物が浮かび上がったり逆さまに見えたりする
「蜃気楼」も、同じく光学現象として教えられますが
両者は異なるものとして区別されることが多いです……が……
実はこの違いは、高校物理が現象を理解しやすくするために
空気や光の振る舞いを大きく単純化して扱っていることに由来するんです。
高校物理における逃げ水の説明では、
空気の屈折率が温度によって変化することが重要な前提となります。
地面近くの空気は強く加熱されて密度が小さく、屈折率も小さい。
一方、上空の空気は比較的冷たく、屈折率が大きい。
このように、屈折率が下に行くほど小さくなる分布があると、
空から地面に向かって進む光は次第に上向きに曲げられる。
その結果、本来は地面に届くはずのない空の光が観測者の目に入り、
地面で反射した光であるかのように知覚されます。
これが、水たまりが存在するように見える逃げ水の正体なんです。
ここで見えているのは実在の物体の像ではなく、
空の明るさが作る見かけの像である点が強調されます。
これに対して蜃気楼は、物体から出た光が大きく屈折することによって、
本来とは異なる位置や向きに像が形成される現象として説明されます。
高校物理では、遠方の船や建物が倒立して見える例などが典型的に扱われ、
像の向きや位置関係が重要なポイントとなります。
逃げ水と同様に空気の屈折率分布が原因ではあるんですが
蜃気楼では「何らかの物体の像が見えている」という点が決定的な違い
として整理される。そのため高校物理では、逃げ水は水面反射のように見える現象、
蜃気楼は屈折によって物体像が生じる現象、という区別がなされてしまうんです……
このように、高校物理では逃げ水と蜃気楼は、見えているものの性質の違いによって
比較的明確に分けて扱われるのですが……
大学以降の物理学では、この区別は必ずしも本質的なものとは見なされなくなります。
その理由は、現実の大気中では屈折率が層状に不連続に変化しているのではなく、
温度や密度の変化に応じて連続的に変化していると考えるからです。
このとき光は境界で折れ曲がる折れ線ではなく、連続媒質中をなめらかな曲線として伝播
します。
大学物理では、光はフェルマーの原理に従って進むとされ、
屈折率が位置の関数として与えられた空間では
、光線は微分方程式によって記述される曲線となります。
この立場に立つと、逃げ水と蜃気楼は質的に異なる二つの現象というよりも、
同じ大気中の屈折率分布が、観測者の位置や視線の角度、
温度勾配の形の違いによって異なる見え方を生み出しているに
過ぎないことが分かります。
空の像が強調されれば逃げ水のように見え、
物体からの光が強く曲げられれば蜃気楼として
認識されるのであり、その間には連続的な移行が存在します。
さらに現実の大気は常に揺らいでおり、
屈折率は時間的にも空間的にも不規則に変動しているんです。
そのため像は揺れ、歪み、場合によっては複数に分かれて見えます。
このような効果まで含めて厳密に扱おうとすると、
幾何光学だけでなく、流体力学や熱力学、さらには波動光学や
数値計算の知識が必要となり
現象は研究対象としての複雑さを帯びます。
私は物理学は単なるモデルに過ぎないと
いつも言ってますが
逃げ水と蜃気楼の違いは、高校物理では
理解しやすさを重視したモデルの中で
整理された区別なんです。
一方、大学以降の物理学では
それらは同一の物理的基盤の上に現れる
多様な見え方の一部として統一的に捉え直されます。
高校物理の説明は誤り……とは言えないですが
現象の一側面を切り出した最小限の描像で
それが全てでそれで説明出来るものでもないんです。
わかりやすく言うと
全ての犬の習性を柴犬で説明してしまうようなものです。
チビマルみたいな変な犬も
いたりするんです😂
2026年01月10日
2025年12月16日
昨日の記事の補足 雲と霧の違い
昨日は雲が何故落ちてこないか?
について書きました。
書いていてふと思ったんですが
雲と霧の違いについても書いておきます。
まあ違いと言っても
霧と雲は見た目こそ違って見えますが
実はどちらも同じ仕組みでできているんです。
空気の中の水蒸気が冷やされて
直径10〜20マイクロメートル(0.01〜0.02 mm)
ほどの非常に小さな水滴に変わると
白く霞んだ雲状のものができます。
この現象がどこで起きるかによって
私たちは「雲」と呼んだり「霧」と呼んだりしているだけなんです。
ある意味
大きさによって呼び名が変わる
イルカとクジラのようなものです😁
雲はふつう、地表から数百メートル〜数キロメートルの上空で作られます。
空気が上昇すると、気圧が下がって膨張し、その過程で冷えます。
空気は冷えると水蒸気を保てる量が減るため
余った水蒸気が水滴になって雲ができます。
昨日書いた通りですが
夏の積雲の場合、雲の底は地上から
約1〜2 kmの高さにできることが多いです。
一方で霧は、地表近くの空気が直接冷やされたときに発生します。
夜になると地面が放射冷却で冷え、
その冷えた地面に触れた空気も温度を下げて飽和し、
雲と同じサイズの水滴が空気中に浮かびます。
これが霧です。
霧の水滴の大きさも、雲とほぼ同じく10〜20 µm程度で、
成分にも違いはありません。
霧と雲の「区別」として唯一はっきりしているのは
霧は地上から高さ0 mのところでできる雲である
という定義だけです。
気象庁では、霧は視程(見通せる距離)が1 km未満の状態を指し、
1 km以上見通せる場合は「もや」と呼びますが、
これも場所に関係なく同じ水滴の集合です。
イルカとクジラです😁
山に登っていて突然白いもやに包まれることがありますが
これは「山の高さにできている雲の中に自分が入った」だけです。
逆に、谷側から見ると霧に見え
山上から見ると雲海に見えることもあり
どちらと呼ぶかは完全に「観測者の位置」の違いによるものなんです。
霧と雲はともに、10〜20 µmの水滴が空気中に漂っている状態であり
違うのはその現象が地表で起きたか
上空で起きたかという一点に尽きます。
仕組みも性質も同じで、名前だけが変わるのです。
まあ人間の言語あるあるですよね😅分類の問題と言うか……。
について書きました。
書いていてふと思ったんですが
雲と霧の違いについても書いておきます。
まあ違いと言っても
霧と雲は見た目こそ違って見えますが
実はどちらも同じ仕組みでできているんです。
空気の中の水蒸気が冷やされて
直径10〜20マイクロメートル(0.01〜0.02 mm)
ほどの非常に小さな水滴に変わると
白く霞んだ雲状のものができます。
この現象がどこで起きるかによって
私たちは「雲」と呼んだり「霧」と呼んだりしているだけなんです。
ある意味
大きさによって呼び名が変わる
イルカとクジラのようなものです😁
雲はふつう、地表から数百メートル〜数キロメートルの上空で作られます。
空気が上昇すると、気圧が下がって膨張し、その過程で冷えます。
空気は冷えると水蒸気を保てる量が減るため
余った水蒸気が水滴になって雲ができます。
昨日書いた通りですが
夏の積雲の場合、雲の底は地上から
約1〜2 kmの高さにできることが多いです。
一方で霧は、地表近くの空気が直接冷やされたときに発生します。
夜になると地面が放射冷却で冷え、
その冷えた地面に触れた空気も温度を下げて飽和し、
雲と同じサイズの水滴が空気中に浮かびます。
これが霧です。
霧の水滴の大きさも、雲とほぼ同じく10〜20 µm程度で、
成分にも違いはありません。
霧と雲の「区別」として唯一はっきりしているのは
霧は地上から高さ0 mのところでできる雲である
という定義だけです。
気象庁では、霧は視程(見通せる距離)が1 km未満の状態を指し、
1 km以上見通せる場合は「もや」と呼びますが、
これも場所に関係なく同じ水滴の集合です。
イルカとクジラです😁
山に登っていて突然白いもやに包まれることがありますが
これは「山の高さにできている雲の中に自分が入った」だけです。
逆に、谷側から見ると霧に見え
山上から見ると雲海に見えることもあり
どちらと呼ぶかは完全に「観測者の位置」の違いによるものなんです。
霧と雲はともに、10〜20 µmの水滴が空気中に漂っている状態であり
違うのはその現象が地表で起きたか
上空で起きたかという一点に尽きます。
仕組みも性質も同じで、名前だけが変わるのです。
まあ人間の言語あるあるですよね😅分類の問題と言うか……。
2025年12月15日
それは流石に間違い 雲は何故落ちてこないか?
生徒が言っていたのですが
よびのりさん?知らない方ですが😅
のYouTubeの動画で
「雲は何故落ちてこないか?」の説明で
雲を形成する水と水蒸気の平均密度が
外気と一致するからだと
説明されてる……ようなのですが
それは流石に間違いです。
あまりこういう波風の立つことを言いたくはないですが😅
生徒に授業で説明すると長くなるので
ブログに書くから
それを見てくれと言ってしまった手前
今日の記事を書くことになりました。
一応私は地球惑星物理学科という地学科なので
(かなり昔の話ですが😂)
丁寧に説明しておくと
雲が空に「浮かんで見える」のは
雲を構成する水滴が非常に小さく
その大きさが 直径10〜20マイクロメートル(0.01〜0.02 mm) 程度
しかないためです。
水は空気よりはるかに重く
密度は 水:1000 kg/m³、空気:約1.2 kg/m³ と
約800倍も違いますから
密度が釣り合って浮いているわけではありません。
これほど微小な水滴になると
重力より空気抵抗が支配的になり、
落下しようとしても落下速度は
秒速数センチ(約1〜5 cm/s) しかありません。
一方、地表付近では、日射で暖められた空気が上昇し、
湿った空気が雲の高さまで運ばれます。
このとき生じる上昇気流の速度も
弱いもので 秒速数センチ
強いと 秒速1〜5 m/s ほどあります。
雲ができる高さにある一般的な上昇気流は、
雲粒の落下速度と同じかそれ以上であるため、
水滴は重力で落ちようとしても、
上昇する空気の流れによって押し上げられ、
結果として空中に留まるんです。
ですから雲は単に軽くて浮いているのではなく
落下速度(数 cm/s)と上昇気流(数 cm/s〜数 m/s)の力が
拮抗している状態 にあるのです。
ある種の平衡状態にあると言ってもいいです。
この力のバランスは、雲の形にも直接影響します。
たとえば、上昇気流が強い場所では
水滴はどんどん上へ運ばれ、
雲は垂直方向に大きく成長します。
積雲や積乱雲は典型で、特に積乱雲では
上昇気流が 10〜30 m/s に達することもあり、
雲頂は高度 10〜15 km まで伸び上がります。
これが球速に成長すると
今や日本の夏の風物詩😀
ゲリラ豪雨を引き起こすんです。
逆に、大気が安定して上昇気流が弱い
(秒速数 cm 程度以下)状況では
水滴は高く持ち上げられず
雲は薄く広く広がって層雲のような平たい形になります。
また、風が強いと雲がちぎれたり引き伸ばされたりし、
うろこ雲(巻積雲)などの細かな模様が現れます。
このように、雲が落ちずに浮かんでいることも、
雲の形が多様であることも、
すべては 水滴の大きさ(10〜20 μm)
落下速度(1〜5 cm/s)
上昇気流(数 cm/s〜数 m/s)
風の強さ といった物理的条件が作り出す結果なんです。
雲は静かに空に浮かんでいるように見えて、
実際には微小な水滴が常に落下しようとし、
その落下を大気の動きが打ち消している
非常に動的な存在なのです。
水滴の気持ちになってみると
「落ちようと思っても落ちられないんだよなあ」
です😁
この台詞
今年の入試で私の受験生から聞きたいです🙏
現状……上昇気流が足りない気がしますが……な~んて(笑)
よびのりさん?知らない方ですが😅
のYouTubeの動画で
「雲は何故落ちてこないか?」の説明で
雲を形成する水と水蒸気の平均密度が
外気と一致するからだと
説明されてる……ようなのですが
それは流石に間違いです。
あまりこういう波風の立つことを言いたくはないですが😅
生徒に授業で説明すると長くなるので
ブログに書くから
それを見てくれと言ってしまった手前
今日の記事を書くことになりました。
一応私は地球惑星物理学科という地学科なので
(かなり昔の話ですが😂)
丁寧に説明しておくと
雲が空に「浮かんで見える」のは
雲を構成する水滴が非常に小さく
その大きさが 直径10〜20マイクロメートル(0.01〜0.02 mm) 程度
しかないためです。
水は空気よりはるかに重く
密度は 水:1000 kg/m³、空気:約1.2 kg/m³ と
約800倍も違いますから
密度が釣り合って浮いているわけではありません。
これほど微小な水滴になると
重力より空気抵抗が支配的になり、
落下しようとしても落下速度は
秒速数センチ(約1〜5 cm/s) しかありません。
一方、地表付近では、日射で暖められた空気が上昇し、
湿った空気が雲の高さまで運ばれます。
このとき生じる上昇気流の速度も
弱いもので 秒速数センチ
強いと 秒速1〜5 m/s ほどあります。
雲ができる高さにある一般的な上昇気流は、
雲粒の落下速度と同じかそれ以上であるため、
水滴は重力で落ちようとしても、
上昇する空気の流れによって押し上げられ、
結果として空中に留まるんです。
ですから雲は単に軽くて浮いているのではなく
落下速度(数 cm/s)と上昇気流(数 cm/s〜数 m/s)の力が
拮抗している状態 にあるのです。
ある種の平衡状態にあると言ってもいいです。
この力のバランスは、雲の形にも直接影響します。
たとえば、上昇気流が強い場所では
水滴はどんどん上へ運ばれ、
雲は垂直方向に大きく成長します。
積雲や積乱雲は典型で、特に積乱雲では
上昇気流が 10〜30 m/s に達することもあり、
雲頂は高度 10〜15 km まで伸び上がります。
これが球速に成長すると
今や日本の夏の風物詩😀
ゲリラ豪雨を引き起こすんです。
逆に、大気が安定して上昇気流が弱い
(秒速数 cm 程度以下)状況では
水滴は高く持ち上げられず
雲は薄く広く広がって層雲のような平たい形になります。
また、風が強いと雲がちぎれたり引き伸ばされたりし、
うろこ雲(巻積雲)などの細かな模様が現れます。
このように、雲が落ちずに浮かんでいることも、
雲の形が多様であることも、
すべては 水滴の大きさ(10〜20 μm)
落下速度(1〜5 cm/s)
上昇気流(数 cm/s〜数 m/s)
風の強さ といった物理的条件が作り出す結果なんです。
雲は静かに空に浮かんでいるように見えて、
実際には微小な水滴が常に落下しようとし、
その落下を大気の動きが打ち消している
非常に動的な存在なのです。
水滴の気持ちになってみると
「落ちようと思っても落ちられないんだよなあ」
です😁
この台詞
今年の入試で私の受験生から聞きたいです🙏
現状……上昇気流が足りない気がしますが……な~んて(笑)
2025年12月14日
リチャード・ファインマンについて③
こういう面白い解釈は
本当にファインマンには沢山あります。
それが物理学を始めた頃の私には手品師のように
見えたんです。
ファインマンは私のヒーローでありましたが
ただ彼がなぜ原爆開発(マンハッタン計画)に参加したのか?
これだけは私は大きな疑問です。
彼が色々後年言ったことも残されてますが
何が本当で何がポジショントークなのかは
分りません。
簡単に経緯を客観的事実だけで追いかけると……
「ナチスより早く原爆を作らねばならない」
というのが、当時の若い科学者の共通した動機としてあったようです。
ファインマンに限らず、多くの物理学者がマンハッタン計画に参加した最大の理由は
「もしナチスが先に原爆を作れば世界は破滅する」
という強烈な危機感だそうです。
ファインマンが後年の講演で次のように述べています。
ヒトラー政権下のドイツにはハイゼンベルクをはじめ優秀な物理学者がいた
「彼らが核兵器を先に手にしたら、人類は終わりだ」という恐怖があった
当時は、原爆開発は“悪”ではなく“悪を阻止するための急務”と感じていた
そして前例のない巨大プロジェクトかつ究極の理論の実証実験に参加出来て
「純粋に物理として面白いと思ってしまった」と後悔を込めて語っています。
確かに今の価値観とは違って
当時のアメリカは非常に愛国心が強かったんです。
戦時下という極端な状況ではそれも仕方ないとは思います。
更によく研究者によって言われてるのは
ロスアラモス移動の直前、ファインマンは最愛の
妻アーリーンを結核で亡くしています。
その直後で、精神的に深い喪失感の中にいました。
彼自身が後年語っているように、
「個人的な絶望があまりに大きく、戦争の倫理性など深く考えられなかった」
可能性があります。
科学と仕事に集中することで、悲しみから逃れようとした、
という解釈もなされています。
ただ……後年
実際に原爆実験に立ち会ったときに
これは恐ろしいことをしてしまったと思った
戦争が終わった時、喜ぶというより空虚さを感じた
自分が“正しい”と思っていたことが
本当に正しかったのか分からなくなった
という心の葛藤をも持ったまま
彼は後の人生を生きました。
ファインマンは1980年代に
腹部にできた希少なタイプの肉腫(sarcoma)
(特に liposarcoma(脂肪肉腫) に分類される腫瘍)
と長く闘病していました。
手術を何度か受けましたが、再発を繰り返し、
1988年2月15日、私が12歳の時に
合併症のためロサンゼルスで死去
しました。享年 69 歳でした。
最期の時期になって医師が
人工的な延命の選択肢を示したとき、
彼は次の言葉を残したと言われています
「二度も死ぬなんてまっぴらだ。あまりにつまらないからね。」
(I’d hate to die twice. It’s so boring.)
ファインマンらしい最期だったと思います
本当にファインマンには沢山あります。
それが物理学を始めた頃の私には手品師のように
見えたんです。
ファインマンは私のヒーローでありましたが
ただ彼がなぜ原爆開発(マンハッタン計画)に参加したのか?
これだけは私は大きな疑問です。
彼が色々後年言ったことも残されてますが
何が本当で何がポジショントークなのかは
分りません。
簡単に経緯を客観的事実だけで追いかけると……
「ナチスより早く原爆を作らねばならない」
というのが、当時の若い科学者の共通した動機としてあったようです。
ファインマンに限らず、多くの物理学者がマンハッタン計画に参加した最大の理由は
「もしナチスが先に原爆を作れば世界は破滅する」
という強烈な危機感だそうです。
ファインマンが後年の講演で次のように述べています。
ヒトラー政権下のドイツにはハイゼンベルクをはじめ優秀な物理学者がいた
「彼らが核兵器を先に手にしたら、人類は終わりだ」という恐怖があった
当時は、原爆開発は“悪”ではなく“悪を阻止するための急務”と感じていた
そして前例のない巨大プロジェクトかつ究極の理論の実証実験に参加出来て
「純粋に物理として面白いと思ってしまった」と後悔を込めて語っています。
確かに今の価値観とは違って
当時のアメリカは非常に愛国心が強かったんです。
戦時下という極端な状況ではそれも仕方ないとは思います。
更によく研究者によって言われてるのは
ロスアラモス移動の直前、ファインマンは最愛の
妻アーリーンを結核で亡くしています。
その直後で、精神的に深い喪失感の中にいました。
彼自身が後年語っているように、
「個人的な絶望があまりに大きく、戦争の倫理性など深く考えられなかった」
可能性があります。
科学と仕事に集中することで、悲しみから逃れようとした、
という解釈もなされています。
ただ……後年
実際に原爆実験に立ち会ったときに
これは恐ろしいことをしてしまったと思った
戦争が終わった時、喜ぶというより空虚さを感じた
自分が“正しい”と思っていたことが
本当に正しかったのか分からなくなった
という心の葛藤をも持ったまま
彼は後の人生を生きました。
ファインマンは1980年代に
腹部にできた希少なタイプの肉腫(sarcoma)
(特に liposarcoma(脂肪肉腫) に分類される腫瘍)
と長く闘病していました。
手術を何度か受けましたが、再発を繰り返し、
1988年2月15日、私が12歳の時に
合併症のためロサンゼルスで死去
しました。享年 69 歳でした。
最期の時期になって医師が
人工的な延命の選択肢を示したとき、
彼は次の言葉を残したと言われています
「二度も死ぬなんてまっぴらだ。あまりにつまらないからね。」
(I’d hate to die twice. It’s so boring.)
ファインマンらしい最期だったと思います
2025年12月13日
リチャード・ファインマンについて②
昨日の続きです
ファインマンの独特な面白い考え方を紹介します。
これは本当に沢山あるのですが
例えば
バネはどうして伸びると思いますか???
そりゃ引っ張るからですよね……
でもファインマンの考え方は違うんです。
ゴムは「分子が伸びるから」伸びるのではなく
分子の「乱雑さ(エントロピー)」が変化するから伸びる
というんです。
ゴムの本体は、
長くてクネクネした分子鎖(ポリマー)が、ぐちゃぐちゃに絡まった状態
になっていますよね。
これを伸びてる状態と伸びていない状態
それがどう違うのかを考えるんです。
● 伸びていない状態
分子鎖がバラバラの方向へ向きランダムに折れ曲がり
とても乱雑(エントロピーが高い)
→ ゴムは自由な形になっている。
● 引っ張った状態
外力でまっすぐに引きのばすと、分子鎖が同じ方向に並ばされ
折れ曲がりが減り乱雑さ(エントロピー)が減る
→ ゴムの自由度が奪われる。
ファインマンの言葉で言えば、
「ゴムを伸ばすのは分子を整列させることであり、それは“自然が嫌がること”だ」
なんだそうです😁
つまり
なぜ伸びたゴムは元に戻るのか?
→ 自然は「エントロピーが高い=乱雑な状態」を好むから
自然界は、
エントロピーが最大になる状態を“好む”という統計力学の原理があります。
伸びて整列させられた分子鎖は
「自由度を奪われた不自然な状態」
だからゴムは、
乱雑な状態=縮んだ状態に戻ろうとする力が生まれる。
このエントロピーの復帰力が、
ゴムの「縮もうとする力」の正体だというのです。
これを実際の現象に当て嵌めてファインマンは説明します。
ゴムを伸ばすときに手が熱くなりますよね
これは引っ張るとき、分子の自由度を奪うため、
エントロピーが下がる → 熱が出てくる。
逆に
縮むときはエントロピーが上がるので、
熱を吸収して冷たく感じるのだと。
ファインマンは「ゴムの弾性は、力学ではなく“統計力学”で説明される」
べきだと言うんです(笑)
普通、バネの力(弾性力)は
原子間のクーロン力
分子間距離と相互作用
といった力学的な原因で説明されますよね。
しかしゴムは違う。
ゴムが元に戻る力のほとんどが、
原子の“乱雑さ”という統計的概念から生まれる力で
ファインマンはこれを
「ゴムの弾性は、エントロピーの力そのものだ」
と解釈したんです✨
(続く)
ファインマンの独特な面白い考え方を紹介します。
これは本当に沢山あるのですが
例えば
バネはどうして伸びると思いますか???
そりゃ引っ張るからですよね……
でもファインマンの考え方は違うんです。
ゴムは「分子が伸びるから」伸びるのではなく
分子の「乱雑さ(エントロピー)」が変化するから伸びる
というんです。
ゴムの本体は、
長くてクネクネした分子鎖(ポリマー)が、ぐちゃぐちゃに絡まった状態
になっていますよね。
これを伸びてる状態と伸びていない状態
それがどう違うのかを考えるんです。
● 伸びていない状態
分子鎖がバラバラの方向へ向きランダムに折れ曲がり
とても乱雑(エントロピーが高い)
→ ゴムは自由な形になっている。
● 引っ張った状態
外力でまっすぐに引きのばすと、分子鎖が同じ方向に並ばされ
折れ曲がりが減り乱雑さ(エントロピー)が減る
→ ゴムの自由度が奪われる。
ファインマンの言葉で言えば、
「ゴムを伸ばすのは分子を整列させることであり、それは“自然が嫌がること”だ」
なんだそうです😁
つまり
なぜ伸びたゴムは元に戻るのか?
→ 自然は「エントロピーが高い=乱雑な状態」を好むから
自然界は、
エントロピーが最大になる状態を“好む”という統計力学の原理があります。
伸びて整列させられた分子鎖は
「自由度を奪われた不自然な状態」
だからゴムは、
乱雑な状態=縮んだ状態に戻ろうとする力が生まれる。
このエントロピーの復帰力が、
ゴムの「縮もうとする力」の正体だというのです。
これを実際の現象に当て嵌めてファインマンは説明します。
ゴムを伸ばすときに手が熱くなりますよね
これは引っ張るとき、分子の自由度を奪うため、
エントロピーが下がる → 熱が出てくる。
逆に
縮むときはエントロピーが上がるので、
熱を吸収して冷たく感じるのだと。
ファインマンは「ゴムの弾性は、力学ではなく“統計力学”で説明される」
べきだと言うんです(笑)
普通、バネの力(弾性力)は
原子間のクーロン力
分子間距離と相互作用
といった力学的な原因で説明されますよね。
しかしゴムは違う。
ゴムが元に戻る力のほとんどが、
原子の“乱雑さ”という統計的概念から生まれる力で
ファインマンはこれを
「ゴムの弾性は、エントロピーの力そのものだ」
と解釈したんです✨
(続く)

